【乙木(オトギ)】
意味
天理市旧大字。小峠のことであろう。竹内峠の扇状地に立地する。
例
乙木
他


詳細説明
奈良県天理市に位置する地名「乙木(おとぎ)」の由来は、その地域に鎮座する夜都岐(やつぎ)神社と深く関連しており、古くはこの神社が「乙木明神」とも称されていたため、その名称に由来すると考えられています。この神社に関する説としては、常陸風土記に記録されている谷の神である「夜刀神」に関係がある可能性が取りざたされており、蛇を神体とする水神として信仰されていたことが影響していると考えられるものの、この地域の地名「乙木」は他にも「愛宕(おたき)」や「斎(いつき)」神社の変化であるという説も存在します。また、乙木という名は、小さな峠を意味する「小峠」をやさしく表現したものであり、「タワ越え」から「タワコへ」「トウゲ」と変遷した後に「コトウゲ」となり、最終的に「オトギ」に転じた可能性も提起されていることから、峠の地形に由来しているとされる一方で、兵庫県神戸市における「乙木」は、もともと「乙木谷」と称された小字(こあざ)の地に由来し、この谷が「ほと」に関連しているとの説や「ほとけ(仏)の谷」の転訛によるとの説もありますが、いずれにせよ、地域の特徴的な地形や古代神への信仰がこの地名の背後に横たわっていることが窺えます。