【芋峠(イモトウゲ・イモガトウゲ)】
意味
高市郡明日香村から吉野郡に至る峠。芋峠(妹峠)のイモは疱瘡のことで、疱瘡祓いをした峠であろうか。
例
芋峠
他


詳細説明
芋ヶ峠は奈良県の高市郡明日香村と吉野郡(吉野町・大淀町)を結ぶ標高約497メートルの峠であり、現在は奈良県道15号桜井明日香吉野線が通る交通の要所となっているが、古代においては飛鳥の都と吉野離宮を最短距離で結ぶ重要な道であり、天武天皇や持統天皇の吉野行幸にも利用されたとされ、中世以降は吉野山や大峯山への参詣道、江戸時代には物資運搬のための物流路としても機能した歴史を有している一方、地名の「芋」は植物の芋ではなく「疱瘡(天然痘)」を意味する隠語であり、江戸時代には「疱瘡峠」とも記されて「いもとうげ」と読まれた記録があることから、古くより峠を越える旅人たちの間で疫病除けや疱瘡祓いの信仰と深く結びついており、峠の明日香村側にはかつて芋峠神社が祀られ、峠道には旅人の休息や祈願の場ともなった茶屋が三軒存在したと伝えられており、これらの事実から芋ヶ峠は単なる交通路であるにとどまらず、災厄を祓い無事を祈る信仰の場としての性格を強く帯びた峠であったことがわかる。