【領家・地頭(リョウケ・ジトウ)】

意味

中世の荘園制支配に由来する地名。

領家方、地頭方

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詳細説明

「領家方」「地頭方」という地名は、中世の荘園制における土地支配の仕組みを色濃く残す名称であり、荘園の管理体系に基づいて生まれた呼称である。荘園は貴族や寺社に寄進されることで成立し、その支配は本家・領家・地頭といった複数の階層に分かれていた。領家方とは、荘園を寄進された上位の領主である「領家」が直接管理した地域を指し、年貢の徴収や経営の権限が及ぶ場所であった。一方、地頭方は鎌倉幕府が任命した武士である「地頭」が管轄した土地であり、年貢の取り立てや治安維持を担うことで荘園支配に強く関与した区域である。荘園の内部では、しばしば「本家方」「領家方」「地頭方」といった具合に支配権が細分化され、それぞれの勢力が権利を主張し合った。やがて地頭が力を強めることで荘園制は大きく変質していったが、地名として「領家方」「地頭方」が残るのは、当時の土地支配の境界が地域社会に深く刻まれていた証拠であり、今日でも歴史を伝える重要な痕跡となっている。