【沼(ヌマ・ヌタ・ニタ・ノタ)】
意味
湿地・沼地名彙。ヌタは怒田・垈・沼田とつくり、ヌタ・ニタ・ノタはともに泥土をいう。
例
沼影、蓮沼、横沼、沼田、皿沼、天沼、沼袋、鷺沼、怒田、垈、沼田
他
水害
歴史地名
現代地名
詳細説明
「沼(ヌマ)」は、湿地やぬかるみの地形を表す古い自然地名語であり、そこから派生した「ヌタ」「ニタ」「ノタ」などの異形も、いずれも泥土や湿地を意味する語として全国に広く分布しています。これらはもともと「湿った場所」「水の溜まる土地」を指す言葉で、「ヌマ」は蓮沼や鷺沼のように低湿地を、「ヌタ」は「垈」「怒田」「沼田」などの字で表され、湿った田や泥地を示します。特に山梨県では「垈(ぬた)」が地名字として定着し、湧水地や湿地帯を開墾した土地を意味します。また「ニタ」「ノタ」は「泥田」「湿地」を表し、九州の「牟田(ムタ)」とも同系の語とされます。これらの語に共通する「タ」は、古代語で「平らな土地」や「場所」を示す語尾であり、後に「田」の字が当てられて稲作地と誤解されることもあります。いずれも人々が水や湿地と共に暮らした歴史を映し出す地名語であり、地形・風土・生活文化を今に伝えています。