アクツ、アクトは関東から東北にかけて分布している。川沿いの低湿地や川に面した畑などをいう。
自然の地名
山岳、河川、湖沼、海岸線など、自然環境そのものを由来とする地名。
関東から中国地方にかけて分布する地名。湿地や沼池などをいう。
ウチコシはオッコシともいう。山の鞍部や小高い丘陵の向こう側へ乗り越えられる場所をいう。
関東から東北地方にかけて多く分布する地名。空洞状地形や凹状地形の地名である場合が多い。
支谷でまとまった田を持ち、集落になっているところ。浴は「水のある谷」という意味。
一般的な概念は、谷、川などの一部が内側へやや入り込んだ場所で窪んだところ。
谷の奥の方をオキといい、集落の全面に開けた広い田畑をオキというのは古い用法が地名や方言に残っている。
釜のように深く窪んだ地形一般を指す。谷川の崖の岩穴、火山の噴火口、滝壺などにつけられている。
水の乏しいサワを指す地名。
山と山との間の谷あい。川の両岸の高くせまっているところ。せまい細長い地。

小さい山や丘もしくはそれを越えるところを意味し、コシと同系の地名。海岸では岬の意味に使われる。
中部地方に多く分布し、山間の湿地を意味する。クデ、グデ、クタも同系の地名。
垣根、屋敷林、生垣などをあらわす語で、境界にたてる障壁を意味している。
地形的に窪んだ場所。
全国的に分布する地名で、岩の露出した崖や断崖を意味し、岩場の多い高い山にしばしばみられる。
グリともいう。岩礁あるいは海の中にある隠れた岩を意味する地名で、日本海沿岸の広い範囲でみられる。
木のないハゲ山をいい、毛無山という山が各地にある。
小石などがごろごろしているところをいい、ガーラ、ガラ、ゴーロ、コーロ、コロなどの洞穴を意味する。
越、腰と表記する、山や台地の麓あたりをいう。山などを越えるという意味、九州ではおもに峠を意味する。
海に突き出した陸地の先端部や、台地や山が平地に突き出した突端をいう。
山と山の間の谷をいうが、タニよりも小さいものを区別していう場合が多い。その中にある支谷をサコと呼ぶ。

西日本で陸地が海に突き出した地形の意味、内陸部にもあるがこれは山に挟まれたような狭い場所を意味する。
サワは東日本で谷、西日本で沼沢地を意味する。
標準語では水に囲まれた陸地の意味、他から区分され範囲を限定されたものを一般にシマという例もある。
スカは砂地、砂丘をあらわす地名で、方言としても分布が広く、全国的に使用されている。
ふつう両側を陸に挟まれた狭い海、海峡をいうが、海だけでなく両側が崖になって狭くなった場所。
階段状の傾斜地をいう。膳棚というのは膳や椀を置く戸棚のことで、現在では使われていない。

ウネ(畝)、オネ(尾根)と同系の地名で、いずれも畑の畝のように長く伸びた高まりを意味している。
西日本に多い地名。上の方、高いところを意味する。集落や耕地など生活圏に近い範囲で使われたようである。
台地を意味する地名。周辺より一段高い平坦地をまわりと区別してつけられた地名。
ダケともいう。岳、嶽、嵩などの表記があり乗鞍岳、白馬岳など高い山に多くみられる。
山間の小平担地を意味する地名で、タバともいう。

山の鞍部を意味する地名。タワは地形的にたわんだ場所であることから生じたものであろう。
動物の鶴に因む地名もあるが、川の曲流部につけられた地名も多く、弦の形などから転じたものと思われる。
滝、堰、瀬などで川の水が落ちて音をたてるところをいう。水の音をあらわす擬音語からきた地名である。
現在では下水や下水溝を指す語であるが、もとは水が濁っているところや川沿いの淀み、沼などをあらわす。
海の一部を指す地名であるが、地域によって波打ち際からはるか沖合いまでのさまざまな範囲に使われる。

岩が露出しているところに水が流れ、苔や藻が生えて滑りやすくなっている場所をいう。
中国・四国地方に多くみられ、平坦地または緩傾斜地を意味する。平坦地の貴重な山地にあることが多い。
湿地を意味する地名で、全国的に分布する。ヌタ(怒田、沼田)、ノタ(野田)と同系の地名。
山や台地の麓を意味する地名で、根と表記する。また、海中の暗礁をネといい、おもに太平洋側に分布する。

川が激しく蛇行しているところにみられる地名で、水田の中を流れている小川などに多い。
ヌともいう。平坦地、緩傾斜地、山。
九州では山中の緩傾斜地や小平地のことをいう。ハイともいう。海の岩礁、海中の広い暗礁。
鼻と表記。海に突き出した岬を意味する地名で、全国的に分布する。内陸でも端、先端を意味することがある。
ハラは広い平坦地を意味し、なんらかの理由で開発が進まず、草原になっているような土地であることが多い。
山の南向き斜面の麓などで日当たりがよい場所をいう。表記は日南、日名など。
川が大きく蛇行したため、川に囲まれて袋のようになったところをいう。
富士山あるいは各地の郷土富士が見える場所という意味。
谷川の両岸の山のせばまっているところをホキ、ホケ、ハケという。崖下から水が湧いているところ。
谷を意味する。洞と表記。タニよりも浅く、田畑を開くのに適しているため集落名として多数分布する。
主に三つの国や県の境界に位置することから名付けられており、それぞれの地域で地理的特性や歴史的背景がある。
海に突き出した陸地の先端部を意味する地名。大きな神の先駆けとなる小さな神のことをいう。
峰、嶺、峯と表記する。山の名として使われているが、もとは山頂あるいは山頂以外の頂を指したものか。
『大日本国語辞典』では、「草の生い茂った沼」とある。一般には「湿地・湿田」と理解されている。
神聖な森、すなわち神社の鎮守の森を指すことが多い。
関東北部から東北地方にかけて水が湧いているようなじめじめしたところ。ヤチは湿地一般につけられている。
房総半島に広がる丘陵にある地形をヤツという。鎌倉市内にも数多く分布する。樹枝状の谷という特定の地形。
相模野台地に多く、台地に入り込んだ樹枝状の細長い谷を指す。
沖積低地の湿田が多い。現在では土地改良が行われて乾田化している。
全国的に屋敷林や雑木林、平地林の意味に用いられることが多い。もとは木が生えている場所を呼んだもの。
海岸や川で入江などの屈曲した場所を意味する。海岸部では集落名となることが多い。
主に海岸などの入江を意味する。岩の洞穴などを意味する地域もある。湾曲しているところ。